私たちが普段見ている地図や図面は「平面」ですが、実際の地球は「丸い曲面」です。では、丸い地球をどうやって平面化しているのでしょうか? 本コラムでは、GNSS測量や地図作成の基礎となる「平面直角座標」の仕組みと、実務で気をつけたい「縮尺係数(歪み)」について解説します。
地球上の位置を平面に表すための基本的なルールが「横メルカトル図法」です。地球を円筒にすっぽりと被せて、そこに地形を投影するようなイメージです。
横メルカトル図法の メリット と デメリット
【メリット】
X・Yの2次元座標として簡単に利用できます(Z座標を加えると3次元での利用も簡単になります)。
【デメリット】
曲面を無理やり平面化するため、必ず「歪み」が生じます。図の領域が広くなるほど、この歪みも拡大してしまいます。
歪みをなるべく小さくするために、世界や日本では領域を細かく分割して平面化しています。
日本国内の座標系(公共測量などで利用)
・国土地理院が定義する日本独自の座標系です。
・全国を19の領域に細かく分割して歪みを抑えています。
・地球の形を表す基準(楕円体)には「GRS80」を採用しています。
UTM座標系(国際的な基準)
・正式には「ユニバーサル横メルカトル図法」と呼ばれます。
・地球全体を経度6度分ごとに、60の領域に分割した平面です。
・地球の形を表す基準(楕円体)には「WGS84」を採用しています。
平面化する領域が大きくなるほど曲面を平面化する歪みが大きくなるため、目的に合わせて国内座標系とUTM座標系を使い分けると便利です。そして、この平面化による歪みを数値化したものを「縮尺係数」といいます。
日本国内の座標系の縮尺係数
・投影の原点(中心)で「0.9999」となります。
UTM座標系の縮尺係数
・投影の原点(中心)で「0.9996」となります。
この「縮尺係数」による歪みは、実際の測量現場でどのような影響を及ぼすのでしょうか?
小規模な用地であれば、歪みの影響は小さくほぼ困ることはありません。しかし、大規模な用地になるほど、図面上の数値と実測値とのズレが大きくなります。
・投影面(平面)の距離 ≒ GNSSの観測値
・楕円体面の距離 ≒ 光学機器(トータルステーションなど)の観測値
基準となる面が異なるため、「設計図・基準点・境界点」の距離と、「現地の実測値」がイコールにならない(≠)という現象が起きてしまうのです。
平面直角座標は、XY座標を用いて計算が簡単にできるという大きなメリットがあります。しかし、同時に「縮尺係数による歪み」が発生していることの理解が非常に重要です。
現場での測位結果に「ズレ」を感じた時や、長距離の計測を行う際は、この座標系の仕組みを思い出してみてください。具体的な事例に基づく対処法など、縮尺係数や投影誤差にお困りの際も、お気軽にご相談ください。