GNSS測量機器やアプリの画面でよく見かける「Fix」「Float」「DGPS」「Single」といったステータス表示。
これらは、機器が出力するNMEAデータ上の「測位の品質(Quality)」を示す非常に重要なサインです。
本コラムでは、それぞれのステータスが持つ意味と、精度の違いについて分かりやすく解説します。
GNSSのNMEAデータでは、測位の品質状態を主に1から5の数値で分類しています。
数字やステータス名が変わるだけで、位置の正確さは大きく異なります。
補正データを使わず、GNSS衛星からの電波のみで位置を計算する状態(Quality 1)です。スマートフォンやカーナビのGPSと同じ仕組みで、数メートルの誤差が生じます。
基準局または衛星等の何らかの補正情報を受け取り誤差を減らしている状態ですが、RTKほど精密な計算(搬送波位相を用いた計算)を行わない状態(Quality 2)です。誤差は数十センチ〜1メートル程度となります。
RTKの補正データを受信して計算を開始しているものの、まだセンチメートル級の計算が完了(収束)しきっていない状態(Quality 5)です。誤差は数十センチから、場合によっては数メートルと不安定です。
GNSSの電波をしっかり捉え、センチメートル単位の安定した精度で位置が求まっている状態(Quality 4)です。一般にセンチメートル精度(級)と言われる測位の精度が実現するのは、安定してFix状態にある場合です。
現場で「Float」から「Fix」に変わらない場合は、間違った電波の拾い方をしているか、衛星の電波がうまく届いていないサインです。以下の方法を試してみてください。
〇 上空視界の改善:
建物や樹木の付近など、空が遮られている場所や電波が反射しやすい場所では電波が乱れます。できるだけ上空が開けた場所へ移動してください。
〇 意図的なリセット:
GNSSアンテナの上側を手などで覆い、一度GNSS信号が受信できない状態を確認してから、再度Fix状態になるのを待ってみてください。電波の捕捉状態がリセットされ、正しい計算に収束しやすくなります。
〇 通信環境の確認:
ネットワーク型RTKを利用している場合、携帯電話の電波が弱く、補正データの受信が途切れている可能性があります。
RTK-GNSSを利用する最大の目的は「数センチの精度」を確保することです。測位ステータスが「Float」のまま観測してしまうと、見た目の座標は表示されていても、実際には数十センチから数メートルの誤差を含んだデータを取得してしまう危険性があります。
センチメートル精度の測位を目的とした観測では、原則としてFix状態が安定して継続している状態で行う必要があります。
実務では、現場状況や作業の目的によってやむを得ず、Float状態のデータを利用する場面もありますが、その実務の目的により適切に利用する必要があります。
ステータスの意味を正しく理解し、機器の状態を見極めることが、高精度な位置情報を業務に活用する第一歩です。
弊社では、現場でのリアルタイムな計測用のGNSSアプリに加え、観測したNMEAログからFixやFloatの区間を自動判別し、精度評価を行える「簡易基準点 成果作成 WEBアプリ」なども提供しています。位置計測の効率化でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。