RTK-GNSSなどで高精度な位置を測ったはずなのに、「CADの設計図や地理院地図と重ねると数十センチ単位でズレている…」といった経験はありませんか?
その原因は、計測ミスではなく「日本列島が常に動いているから」かもしれません。
GNSS測量で避けて通れない「今期座標(こんきざひょう)」と「元期座標(げんきざひょう)」の違い、そしてそのズレを直す「セミダイナミック補正」について分かりやすく解説します。
「今期座標」とは、GNSS衛星から直接受信した、観測した「今現在」のリアルタイムな座標値のことです。
日本列島は複数のプレートの上に乗っているため、地震や地殻変動によって毎年数センチずつ一定の方向へ動いています。つまり、「地球全体から見た日本の絶対的な位置」は日々変化しています。
今期座標は、この「今の地球を一つの球体(楕円体)として捉えた位置座標」です。
【代表的な使われ方】
GoogleマップなどのグローバルなWeb地図、スマートフォンのGPS機能、ドローンの単独測位データ、CLAS測位(PPP-RTK)で得られる座標など。
地面が動くたびに地図上の座標(緯度・経度)が変わってしまっては、土地の境界線や土木工事の設計図が使い物にならなくなってしまいます。
そこで、日本の測量法では「ある特定の基準日(元期)の時点での位置をずっと使い続けましょう」というルールにしています。これが「元期座標」です。
現在、日本国内で一般的に使われているのは「測地成果2011(JGD2011)」と呼ばれる、2011年時点を基準とした元期座標です。
【代表的な使われ方】
国土地理院の「地理院地図」、土木・建設現場の設計図面、登記所(法務局)の公図、公共測量の成果など。
地殻変動によって日本列島が動いているため、GNSSで測った「今期座標」と、図面上にある「元期座標」の間には、数センチ〜数十センチのズレ(歪み)が生じています。
この今期と元期のズレを計算して一致させるための仕組みの一つが「セミダイナミック補正」です。
国土地理院が提供している補正パラメータ(地殻変動量のデータ)を使うことで、観測した今期座標から地殻変動分を換算し、理論上正確な元期座標に変換することができます。
参考情報リンク:地殻変動補正 | 国土地理院
https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/chikakuhendo-hosei.html
「今期座標」と「元期座標」の違いを理解せずに異なる座標系を混ぜてしまうと、現場では「数センチ~数十センチ単位の深刻なズレ」を引き起こす場合があります。
自分が今使っている機器やサービスが「どちらの座標を出力しているのか」を把握し適切に変換して利用することが重要です。
弊社が提供するGNSS観測用アプリや、WEBアプリ「簡易基準点 成果作成」では、カンタンに最新のパラメータを用いたセミダイナミック補正(今期⇔元期の相互変換)が可能です。
座標変換やRTK-GNSSを活用する現場でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。